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生成AIが当たり前にある今、技術ブログの価値について再考する

こんにちは、CTOの橋口(@arbm77509303)です。

社内でアドベントカレンダーを開催するにあたり、技術ブログを書き残す価値について考えてみました。

はじめに

わからないこと、困ったこと、悩んだことがあればまずは生成AIに聞いてみる。3年くらい前までは想像もしていなかった、そんな時代が現実になりました。

とりわけ「検索」という行為が、検索エンジンで行われるものから、ChatGPTやGemini、Claudeといったサービスで行われるようになり、大きな行動の変化が起きています。(※ChatGPTなどのサービスもウェブを検索します)

そして、検索結果を確認し処理するのは私たちではなく、生成AIです。

つまり、インターネット上の情報を自分たちの目で見る機会が明らかに減ってきています。例えば「AWS Lambdaの使い方を教えてほしい」と尋ねると、サービスの紹介から構築方法、サンプルコードやデプロイ方法まで教えてくれます。AWSの公式ドキュメントやQiita、Zennなどを見なくてもいいのです。

では、この生成AI時代において、技術ブログはどのような価値を持つのでしょうか。

価値は上がる

私は技術ブログの価値はむしろ上がり、必要とされるのではないかと考えています。生成AIは基本的に一般的な解答を行います。世の中にある情報から学習して、普遍的で汎用的な情報を教えてくれます。

一般化するからこそ、「一般化される前の、特定の文脈での生の経験」の相対的価値が上がる

リアルな情報の価値は高い

例えば「マイクロサービスを導入すべきか」という問いに対して、生成AIは一般的なメリット・デメリットを答えるでしょう。しかし、多くの場合において質問者が実際に知りたいことは「実際にマイクロサービスを導入することで得られたメリット、導入時に乗り越えた課題や失敗」など、リアルな情報のはずです。

「エンジニア15人のBtoB SaaS企業で、レガシーなモノリスを抱えながら、マイクロサービスに移行しようとして失敗した話」のような記事があったらぜひ読みたいですよね。なぜ失敗したのか、そもそもなぜ移行しようとしたのかなど、「意思決定の歴史」から学ぶことは非常に大切です。

エンジニア向けイベントでCEOやCTOが語る基調講演より、現場のエンジニアが語る失敗談や、どうやって課題を克服したのかを聞く方がワクワクするのと同じです。

「なぜその選択をしたか」「失敗とそこからの学び」「どんな制約・矛盾・人間関係があったのか」「時系列での変化の記録(「1年運用してわかったこと」など)」、このようなリアルな情報が詰まった技術ブログの価値は今後も変わらないでしょう。

逆に「公式ドキュメントの書き写し」「一般論のまとめ」「ライブラリの紹介だけ」の記事は価値が下がり、淘汰されるのではないかと思います。これについては、生成AI登場前から言われていたことかもしれません。

※ 個人が自身の記録として残すことを否定しているわけではありませんし、例えば「ライブラリの紹介だけ」の記事も、そのライブラリを知らない人にとってはそれを知る機会になるので意味がないわけではありません。

インターネットが登場しても本はなくならなかった

インターネットが社会に普及し始めた頃、「すべての情報は無料になり、本は不要になる」というような議論が繰り返されていたそうです。(※自分は子供だったので記憶がありません)Kindleが登場したときは「電子書籍が紙の本を完全に代替する」のではと言われました。「技術情報はブログ・Webに置き換わる(技術書は消える)」とエンジニア界隈でも言われていました。しかし、現在も多くの技術書が発売されていますし、O'Reillyやインプレスの技術書は売れ続けています。

むしろ、体系化された書籍の価値が再評価されているのではないでしょうか。

生成AIによって情報提供手段は変わるかもしれませんが、技術ブログの価値も本と同じように変わらず、むしろ内容によっては価値が上がると思います。

まとめ

生成AI時代だからこそ、技術ブログの価値は上がる。(少なくとも変わらない)

一般情報はAIが生成し、組織や個人の経験は人間が書く、読んで学ぶ。

私たちが歩んだ苦悩や判断、成功や失敗の記録は、未来にとって価値がある。

おわりに

多くの人が「書き残して」くれたことで、私たちは学ぶことができています。

生成AIに聞けば答えてくれる、技術ブログを見なくてもいい、書かなくてもいい、確かにそうかもしれません。AIは瞬時にベストプラクティスやコード例などを示してくれるかもしれません。ただ、そこに表示された情報を使って、行動する、判断する、何かを生み出すのは私たちです。現実の世界では特定の文脈・制約下での判断を下す必要があります。感情も伴います。時とともにさまざまなものが変化します。

常に一般論が正しいわけではありません。だからこそ、他者の経験から学ぶことの重要性は変わらないでしょう。

そして、自分自身の経験を他人や未来の人に向けて「書き残す」ことはとても貴重なことです。壮大なストーリーは必要ありません。たとえ「〇〇の紹介」「〇〇を使ってみた」のようなブログも「記事を書く背景や経験」が添えてあるだけで、より誰かの役に立つ、価値のあるものになると思います。

技術ブログを読む・書く意味や、何を書き残すのか、何を学ぶのかを考えてみるきっかけになれば嬉しく思います。